常時使用する従業員が50人を超えた時…。産業医の選任とともにやってくるもの、それが「衛生委員会」です。髙橋産業医事務所では、50人を超え、新規の産業医選任の場合には、衛生委員会の立ち上げ等についてもアドバイスを行っています。
「どんな委員会?何を話せば良い?」前職などで参加の経験がない場合は、戸惑うことも多いと思います。毎月30回以上の衛生委員会にお邪魔している産業医として、「衛生委員会のやり方」を具体的にレポートしてみたいと思います。すべてをお伝えしようとすると、すごく長くなるので、分けてレポートします。今回は準備編。
衛生委員会に必要なもの
衛生委員会のメンバー
委員会のメンバー…重要ですね。どんな人が参加すればよいのか、簡単に解説します。労働安全衛生法第18条2項には、衛生委員会のメンバーについて規定があります。
①議長
”総括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者若しくはこれに準ずる者” 1名となります。総括安全衛生管理者を置く事業場では総括安全衛生管理者がつとめます。総括安全衛生管理者の設置義務がない規模の事業場では、取締役や支店長、工場長、部門長などがなることが多いです。衛生委員会に実質的に参加を出来る方が議長を務めます。議長は、参加者の意見を聞いて、公平に判断することが求められます。
②衛生管理者
社内で衛生管理者資格※1を取得している人の中で、事業者が指名した者となります。衛生管理者の選び方はとても大切!です。衛生管理者は、衛生委員会の準備や議事進行を務めることが多いので※2、衛生委員会の雰囲気を決めるといっても過言ではない…。参加者の意見をすくいあげることが上手だと、議論も活発になります。企業様によっては、衛生管理者がその月に合った健康テーマを伝えてくれることもあります。
※1 衛生管理者には第1種、第2種があり、業種によって必要な資格が決まっています。
※2 法令上の決まりはないので、議長が司会を行う企業もあります。衛生管理者と半々くらいでしょうか。
③産業医
こちらも事業者の指名した産業医となります。産業医も衛生管理者に次いで、大事なポジションです。衛生委員会を有意義なものとすべく、一緒に奮闘してくれる産業医を探してみましょう。委員の皆さんの会話の中に、職場環境の改善のための大事なキーワードが隠れていることもあるので、私は耳をそばだてて聞いています。
④ ①~③以外の委員
”衛生に関し、経験を有する労働者”と規定されています。誰でも良いというわけではもちろんなく、”労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合(過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者)の推薦に基づき指名”しなければなりません。部門や職位などに偏りがないように、指名ができると良いと思います。
なぜここで「労使」という言葉が出てくるのでしょうか?衛生委員会設置の目的の一つに「労働災害防止の取り組み」があります。この取り組みは労使が一体となって行う必要があります。そのため衛生委員会において、労働者の危険又は健康障害を防止するための基本となるべき対策などの重要事項について、労働者の意見を反映させるよう十分な調査審議を行う必要があります。つまり、衛生委員会は会社側に、「安全に健康に働くための労働者の意見」を伝える大事な場であると言えます。
これらを踏まえて、①議長以外のメンバーのうち、労働者側が半数となるようにしなければなりません。②衛生管理者③産業医は会社側となるので、労働者側から2名以上の出席が必要となるのです。
議事録を作成するツール
衛生委員会は開催だけすれば良いわけではありません。参加していない社員に、委員会の内容を周知すること、議事録の作成と3年間の保管が定められています。ということで、議事録が取れるように準備をしましょう。ノートとペンでも良いし、PCで直接記入し、議事録を作成していることも多いです。AIツール、音声認識機能を使う企業様も増えてきました。
議題に関する必要な情報
衛生委員会の調査審議事項は、労働安全衛生法第18条および労働安全衛生規則第22条に定められています。細かい説明は割愛しますので、ぜひ一度確認してみてください。有害業務のないオフィスワークの企業であれば、開催日までの ①労働災害・通勤災害の有無 ②長時間労働の状況 ③休職者の数 などを把握しておきましょう。有害業務がある場合には、安全委員会と併せて開催されることも多く、上記に加えて ④リスクアセスメント、⑤作業環境測定の結果、⑥作業に関連のある法令の改正点 などが必要になります。
その他、産業医の衛生講話がある場合、事前に資料を共有し準備していただきます。髙橋産業医事務所では、毎月の健康や産業保健にかかわる話題の中から、「産業医新聞」として、資料を作成しています。衛生委員会の中で資料の解説もしています。話題によって、盛り上がるときには議論もとても活発になります。毎月のテーマを探すことに苦労されている衛生管理者からは、負担も減らせるとご好評をいただいています。また、資料は委員以外の社員様にもご共有をいただき、健康づくりに役立てていただいております。
Drink
たくさんお話をすると、のどが渇きます。coffee break ではないですが、緊張しすぎず、しっかりと議論が出来る雰囲気が大切だと考えています。時には、肩の力を抜いてやってみるのも良いものですし、脱線した雑談の中に、重要な意見が入っていることもあります。




